企画展 富本憲吉入門 ―彼はなぜ日本近代陶芸の巨匠なのか
2019年6月29日 〜 2019年9月1日
奈良県立美術館
奈良県が生んだ日本近代陶芸の巨匠・富本憲吉(1886―1963)。郷土を代表する芸術家として、奈良県立美術館では開館以来継続してその創作活動を取り上げてきました。没して半世紀以上過ぎてなお、その作品は高く評価されています。では富本はなぜ「日本近代陶芸の巨匠」と呼ばれるのでしょうか。そして富本の美の感性はいかにして育まれたのでしょうか。それを理解するための、富本芸術の入門編として本展を開催します。
富本は楽焼制作に始まり、土焼・白磁・染付と多様な創作活動を展開し、色絵磁器へと作域を広げていきました。その陶業は、独自の模様の探求、造形を通した美の表現、量産の試みといった課題に取り組んだ道のりでもありました。
このたびの展覧会では、初公開となる新収蔵品ほか寄託品も加えた展示を通して、富本の生涯と彼が生きた時代、その作品の特徴や独自性を知るとともに、奈良の歴史・文化を知る機会を提供できれば幸いです。
富本憲吉
1886(明治19)年、現在の奈良県生駒郡安堵町に生まれました。1904(明治37)年に東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科に入学し、1908(明治41)年からはロンドンに留学。帰国後に親交を結んだバーナード・リーチの影響で、1913(大正2)年に楽焼の制作を始め、ほぼ独学で陶芸の道を歩み始めました。1926(大正15)年、東京に転居。白磁や染付を中心に充実した作陶を続け、1936(昭和11)年の九谷滞在以後は華麗な色絵磁器の作品を次々と発表します。終戦後は安堵への一時帰郷を経て京都に拠点を移し、金銀を同時に焼き付ける色絵金銀彩の技法を完成させました。
1955(昭和30)年、「色絵磁器」で重要無形文化財技術保持者(いわゆる人間国宝)に認定され、1961(昭和36)年には文化勲章を受章しました。1963(昭和38)年逝去。
「模様から模様をつくるべからず」という信条のもと、既成の模様によらず、独自の模様を創案することに情熱を注ぎました。また造形による美の表現にも着目し、作者自身が成形することの重要性を説きました。陶芸の近代化を牽引した作家の一人です。
会 期:2019年6月29日(土)~9月1日(日)
開館時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休 館 日:月曜日(ただし7月15日と8月12日は開館)、7月16日、8月13日
主 催:奈良県立美術館
助 成:芸術文化振興基金助成事業
後 援:NHK奈良放送局、奈良テレビ放送株式会社、株式会社奈良新聞社、
西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、阪神電気鉄道株式会社、
奈良交通株式会社、奈良県商工会議所連合会、奈良県商工会連合会、
奈良県中小企業団体中央会、株式会社南都銀行、(一社)日本旅行業協会、
(一社)全国旅行業協会奈良県支部、(一社)国際観光日本レストラン協会、
(一財)奈良県ビジターズビューロー、(公社)奈良市観光協会、
奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合
観 覧 料
一般400(300)円、大・高生250(200)円、中・小生150(100)円
*( )内は20名以上の団体料金
*次の方は会期中無料でご観覧いただけます
(1)教職員に引率された奈良県内の小・中・高校及びこれに準ずる学校の児童・生徒
(2)身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方と介助の方1人
(3)65歳以上の方
(4)外国人観光客、留学生
*毎週土曜日、小・中・高校及びこれに準ずる学校の児童・生徒は無料で観覧できます
■関連イベント■
講演会「富本憲吉の遺品写真からみる、制作と暮らし」 7月21日(日)14:00~(約90分)
講 師:森谷美保氏(実践女子大学・学習院大学非常勤講師)
場 所:奈良県立美術館1F レクチャールーム(80席・先着順)
美術講座「富本憲吉の模様と形」 8月18日(日)14:00~(約90分)
講 師:飯島礼子(当館主任学芸員)
場 所:奈良県立美術館1F レクチャールーム(80席・先着順)
奈良県立美術館学芸員によるギャラリートーク 7月6日・20日、8月3日・17日・31日(いずれも土曜日)14:00~
場 所:展示室にて
会期中、ボランティアによる展示解説を行います(不定期)
奈良県立美術館
〒630-8213
奈良市登大路町10-6