Nobuko Takatsuki Art Gallery
Nobuko Takatsuki Gallery
高槻 のぶ子 略歴 NOBUKO TAKATSUKI(JAPAN)
京都府生まれ・京都成安女子短大美術科(現成安造形大)卒業
九州芸術工科大(現九州大)聴講生(3年間仏教美術を学ぶ)
テキスタイルデザイナー・着物染色作家を経て、本格的に絵を描き始める。
写実の意味を問いながら記憶時間をテーマに描き、現代美術作家として海外展にも出品している。
タイルモザイク作家としても作品を発表し、2000年より寝屋川市障害を持つ人の自立支援に携わり、
絵画、モザイクを指導している。
個展 1996~2016まで 20回(京都・大阪・東京)
主な公募展・企画展
1978 太平洋美術展 鋤雲賞(東京都美術館)
1997 全国水墨画展入賞(東京朝日生命ギャラリー)
1999 国際公募アジア現代美術展 賞候補(東京都美術館)
2000 寝屋川市図書館企画・個展〈宮沢賢治幻想曲〉
2000 大阪国際会議場オープニング行事「日仏アートマルシェ」
水墨画・モザイク20点展示・2000・2001・2002・2003と出展
2003 公募新陽展 美術館長賞(2004・2005・2006・2007入選)
信州新町美術館 東京近代美術クラブ
2003 宮沢賢治展 (新神戸オリエンタルホテル)
2004 国際インパクトアート・25回・30回・35回(京都市立美術館)
2004 第10回WORK3000入賞 (東京 青樺画廊)
2005 大阪丸善企画〈墨で描くー高槻のぶ子展〉
2005 タイルモザイク教室展主催・6回まで(枚方市民ギャラリー)
2007 国際現代美術展・リニアート・ゲント(ベルギー)東京北井企画
2009 現代美術インディペンデント8回・9回・10回・CASO(大阪市)
2009 モザイクビエンナーレ・奨励賞・2011・2014・あざみ野(横浜市)
2010 かたやわタイルアート展・2012(ハイアット・リージェンシー)
2010 企画展「水墨画と器」二人展(心斎橋・ギャラリー永井)
2011 こみまる展2011(吹田市民文化町づくりセンター浜屋敷)
2012 A-21国際美術展・日本・Poland展 CASO(大阪市)
2012 国際現代美術展・ART DAEGU Daegu EXC(韓国)
エデルより出品
2014 モザイク三人展 (異人館・ラインの館 神戸市)
2014 Aー21国際美術展・大阪・ハンブルグ交流展 CASO(大阪市)
2016 造形「フォルム」第7回展主催 江之子島文化芸術創造センター
2019 日本・ポーランド国交100年記念展(ポーランド・ボズナン市)
2019 京都モザイク展(京都市・瑞雲庵)
工房「RainTree」主催・絵画教室・タイルモザイク教室講師
福祉タイルアート「モザイクJOY」代表
ホームページは高槻のぶ子で検索して下さい
2023年5月7日 〜 2023年5月13日
現代画廊
場所:大阪府大阪市北区西天満4-6-24
更新日:
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作品名 | モザイク・ウォールパネル 「光へ−1・内面に」 |
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サイズ | 45×45cm/厚さ2.5cm |
画 材 | 合板・タイル |
完成年 | 2021年 |
解 説 | モザイク制作 いつからタイルに魅かれるようになったか、今思えばそれは定かではない。 作品を造り始めたのは突然の感じだが、勿論きっかけはあった。「日仏アートマルシェ 2000」という国際アートフェアへの出品が 私の好奇心を揺り動かした。アクリル画や水墨画など描いていたので それまでも海外展のお誘いはあったし、何度かヨーロッパ旅行も経験して いたが何故かこの企画に飛びついた。そしてタイルを割り始めた。 手ほどきを受け、徐々に進歩してというのが普通のやりかたかもしれないが、 私はすぐ洋書を買い込み、タイル屋さん、ホームセンター巡りと、夢中で制作を続ける ことになった。昼も夜もカチン、カチンとタイルニッパーを握り、パン屋さんの壁、 ヘアーサロンの通路などに、大きな仕事もさせて頂いた。今、変形した右手の親指を 眺めると、長いとは言えないこの20年間に私はいくつ作品を作ったのだろうか、とふと 思う時がある。 書き始めに戻れば、2000年にグランキューブ大阪で開かれた「日仏アートマルシェ 2000」 に出品したモザイク作品9点は2点を残して売却した。タイルモザイクは 会場のライトに煌めいてかなり人の眼を引いていたように思う。 |
作品名 | モザイク・ウォールパネル 「光へ−2・外部に」 |
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サイズ | 45×45cm/厚さ2.5cm |
画 材 | 合板・タイル |
完成年 | 2020年 |
解 説 | 材質としてのタイル 私の出発点は工芸デザインである。大げさに言うこともないが、美術科染織デザイン専攻 として自分の進路を歩き始めた。織機を使い、染色化学を学び、デザイン専攻とはいえ 実技時間はかなり多かった。 テキスタイルデザイナーとしての仕事を離れてからも、染色家として働いた。 今、私の作品が素材の特性という表情の豊かさにこだわっているのは、 こういう経歴が作用しているのかもしれない。 平面から空間を取り込む立体へ、抵抗のない手触りからあきらかに物体の重さへと、 材質の変化による技術と知識は、アートというより実験のような面白さがある。 タイルモザイクのジャンルを問われれば、あえて工芸か造形かと言わざるを得ないが 建築的な要素も多分にある。 タイルは建材の外装、内装に当たるので、使い方もアート作品であってもその基準に従う。 デザインより当然、木材カット、塗装、接着など手仕事の部分が多くなり、 それが楽しい。私にとってこの機能性の部分も材質としてのタイルを使い続ける 理由になっているかもしれない。勿論タイル自体の美しさを除くことは出来ないが。 |
作品名 | モザイク・ウォールパネル 「光へ−2・内部へ」 |
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サイズ | 45×45cm/厚さ2.5cm |
画 材 | 合板・タイル |
完成年 | 2020年 |
解 説 | モザイクの表現 タイルモザイクで写実的デザインを精巧に作る欲求は、私には最初から あまりなかったかも知れない。それはそれで完成時の満足感を得られるし クラフト技術として必要でもある。ビザンチン時代の教会の絵画的な美しさに 魅せられた人はほとんどだと思うが、写実的という制約を外された時にこそ モザイクの可能性が見えてくると私は思っている。 「光へー」シリーズ4点はモザイク本来の(5mm×1cm)のピースの寄せ集め で仕上げた。「モザイクで内面を表す」これは最近の私の挑戦ではあったが、 夫の死を経験し、想像を超える感情の嵐が心象として重なったかもしれない。 |
作品名 | 立体モザイク 「パフスリーブの女性」 |
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サイズ | W45×H73cm |
画 材 | 木材・石粉粘土・タイル |
完成年 | 2020年 |
解 説 | 立体モザイク モザイク作品はその材質によりいくらか彫刻的な特性を持つ。 時にはその壁面を含めて建築物になったりもする。作品はその素材の質感を生かし ながら変身していく。最近私のモザイク作品も立体が多くなった。 いつの時代も新しい作品は新しい思考の結果なのだが、今回は特にそんな変化は無く、 材質の作業に従っていったという方が自然。クラフトとしてモザイクテーブルや椅子 などの制作はしてきたが、それはあくまで用途の制約に従っているのでアートとは 呼びにくい。 立体をどんな物でどう形づくるのか、どう作業するのか、その中にタイルをどう 取り込むのか、そんなことにより複雑な面白さがある。 完成後も置く角度や場所、空間など眺める楽しさもある。 |
作品名 | 立体モザイク 「シニヨンヘアーの女性」 |
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サイズ | W18×H33cm |
画 材 | 木材・石粉粘土・タイル |
完成年 | 2020年 |
解 説 | 異国への憧憬 文明開化の時代を思い起させる古めかしい言葉だが私は今も制作手順書や 印刷物に使っている。今更異国でもないが、この言葉に秘められたきらめきとまなざし はこのタイルという材質が持つ夢をよく表している。初めて出会った時から それは変わらない。太陽に向かって語る夢と言ってもいい。 アラベスクやサラセンの絵柄も、海を渡るというこれまた古くさい言い回しと共に、 私に住み着いている。 乾いた太陽のイスラム世界は今や緊迫に包まれ、凄まじい光景が広がるばかりで、 アラビアンナイトの甘い夢物語を想像する余地もないのだが。 神秘性を秘めた美しいタイルのブルーモスクを、異国への憧憬と思うのは 砂漠の蜃気楼かもしれません。 しかし今も造り続ける私の脳の中で、煌めくタイルや謎めいたアラビアンナイトは 理解を超えてタイルモザイクのエネルギーになっているのかもしれません。 |
作品名 | 立体モザイク 「門番」 |
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サイズ | W22×H56cm |
画 材 | W22×H56cm 金属支柱・石粉粘土・タイル |
完成年 | 2021年 |
解 説 | モザイクの補修 作品にも年月による破損、ピースの欠落、摩耗、などもろもろの影響が出ることは 避けられない。堅牢だと思えるモザイクなども例外ではない。 モザイク作家さんの話など聞いていると、壁面モザイクの修復の仕事がかなり あるとか。 手元を離れた作品は確かめようがないが、わたしにもいくつか経験がある。 モザイクウオールパネルを買ってくれた人から、10年後に連絡があり、 同じものを造ってほしいという。モザイクパネルの端の一部がはがれていた。 かなり厳しい自然条件の中に吊るされていたらしい。用途による材質と技法の判断は クラフトには欠かせない。 この立体「門番」も初期にひびが入った。モデリングの上層部分に用いた石粉粘土が 厚くて乾燥不十分だった。タイルの接着部分がまるで皮のようにはがれて 浮いていた。粘土の焼き物にするとこういうことは起こらないが。 異素材を扱う時の水分と乾燥には充分の注意が必要だ。 |
作品名 | 立体モザイク 「憂愁の貴婦人」 |
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サイズ | W15×H35cm |
画 材 | 金属支柱・石粉粘土・タイル |
完成年 | 2021年 |
解 説 | ねぎぼうず 物を造る時、立体でも平面でも私はまずスケッチをする。デザイン画を描く。 今回のこの作品は造ろうと思うが何も掴めず、石粉粘土を削ったり足したり を何日も繰り返していた。徒労な作業に思われるような心の流れのままに 日を重ねた。これは私の精神状態によったのかもしれないが、私にしては珍しく こんなやり方でも完成するんだとも思った。 タイトルは「貴婦人」と名ずけたが他の人は「ねぎぼうず」とよんでいる。 頭を持って回すと台と共に回る。モザイク作品の写真を撮るのは難しく、 光が当たると微妙に色が変わる。この「憂愁の貴婦人」もほとんど 黒なのだが。 |
作品名 | 立体モザイク 「カン蛙」 |
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サイズ | 変形36×30cm/厚さ1.5cm |
画 材 | 合板・タイル |
完成年 | 2021年 |
解 説 | 久しぶりの注文 モザイクを始めた頃、ウオールパネルやミラー等、大、小を問わず 注文が多くあった。さすが現場での制作は体力的に厳しいので受けることは なかったが、新築祝いのモザイクミラーなど人気があった。 この「カン蛙」は 2000年に「宮沢賢治幻想曲」という作品展をした時の、 はがき用に描いたデザイン画である。 今年、梅雨がしとしと続いてコロナ禍で、気分も変わるかなとこの作品を 造った。何日かして思いがけず来訪者があった。同じものを造って欲しいと頼まれた。 蛙がなんとも可愛いいんだとおっしゃった。私はうれしくてこの久しぶりの注文 を二つ返事で引き受けたのだ。 |
作品名 | タイルモザイク(看板) |
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サイズ | 変形(82×50cm) |
画 材 | 木材・合板・タイル |
完成年 | 2021年(注文品) |
解 説 | 2021年、コロナウイルスの感染が少しずつ減少し始めていた夏、私のモザイク教室も休みを続けていたが、そんな状況を哀れに思って下さったのか焼き鳥屋さんの看板の注文が入った。オーナーのご夫婦がアトリエを訪れて下さり、ロゴマーク、好みの色など伺う内に引き受けることとなった。8月いっぱい、タイルの粉まみれになりながら、コロナ制限の中のそのお店の夜の開店に私も願いを込めていた。和文字をタイルで作り上げるには、電動ツールが欠かせないので、粉まみれになるという経験は専用のエプロンを作るというおまけもついた。この仕事はコロナ禍の中で実感した忘れられない共感と感謝のひとつかもしれない。 |
作品名 | 深海に適応したステゴザウルス |
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サイズ | 60×100cm |
画 材 | 合板パネル・漆喰・アクリル絵の具 |
完成年 | 2008年 |
解 説 | 新しい年になると掛ける絵がある。このステゴザウルスの絵もそのひとつで、この絵にたいした意味はないが、あるとすれば私のこの絵に対する思いのようなものだろうか。この季節になると何か奇獣じみて見えるのだ。奇獣じみているからどうなのだ、ということだが人間の力の及ばない何かを感じるのかもしれない。私の絵にそんな力があるとも思えないが、お正月になると出番になる。この絵は13年前「原始の海 記憶=地層」と題した作品展で発表した同じサイズのステゴザウルスの絵4点のうちの1点である。これはモザイクの原画として使う意図があり、今尚実施に至っていないがそれを忘れてはいない。実はこのHPのこの場所に2021年の新作のモザイクを更新するつもりでいたが、思いかけず訪れた寒さに音を上げて未完成のまま年越しだ。それで思いついたのがこのステゴザウルスでお許しを請おうと思ったわけです。 A HAPPY NEW YEAR ! 2022/1/1 下記の詩はその時の作品展のカタログのものです。 深海に適応したステゴザウルスは、ミロともクレーともつかない色彩で私の前に現れた。明るいものと、深いものに向かって駆けていく。長い不在の後を取り戻すのはむずかしい。堆積した記憶、侵食された地層。古生代はウミユリの海。終わりなき現象の海は始原回帰の青い沈黙となった。 |