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Talk-56 龍神社(Ryu-jinjya)/ Shrine


龍神社(正)DEC2017 99×82×3.5cm
 
This work is the trophy of a two-month long battle in my studio. Ryu-jinjya bestowed on me the honor of victory in the end. My wish was fulfilled and it was on the full moon night again. My diary is terrible to read but is the best proof of this miracle. If only you could read Japanese….
 
10/5■まだ日記ではありません。日本語が読めない人たちは日付だけを追って、「二ヶ月間に及んだ奇跡の制作バトル」(上記英文)とやらを訝しげに想像している事でしょう。満月の夜に一体何が起こったのかと。日記とは言っても毎日記録していた訳ではないので、いつからこの「龍神社」の制作が始まったか確認できませんでしたが、恐らく十月五日あたりから始まっていたと思われるので、ここではその様に装っています。実際の日記では十月十三日が最初の記録でした。それでは、かなり気の引ける所もありますが、あるがままに。10/13■悪くはないがこんな程度なら手持ちの技術でいつでもいくらでもできる。どうやってできたのか自分でもわからない、覚えていない、どうしてこんなものが現れたのか、そんな作品に出会いたい。10/15■腰痛。仕事にならない。10/17■胃カメラ胸CT多少のブラ特に心配なし。10/22■この日の記述はさすがに伏せます。下手な俳句もどきがありました。結構本気でひねった感があって恥ずかしい。しかしながら、こうした詩心が自然に取り戻されている事が嬉しい。<現代美術>の時代には失われていたものです。「絵画表現の芸術的蘇生」も最後はこうした詩情の復活にあると思っています。そしてそれに伴う工芸性と・・・。ところで、今もう既に再び“国内向け日本語トーク”に入っていますよ。日記ではありません。日付けもフェイクです。10/29■実際の処、ここしばらくの間は毎日同じ事の繰り返しで目立った記録はありませんでした。しかし今にして思えばここで特記すべき事が一つあったのです。11/5■あれは十一月の満月の夜の事であったことは記憶に確かです。一度「龍神社」の手を休めて、いずれ廃棄するつもりだった別の小さな作品にグラッシの試し塗りをしてみたのですが、これが殊の外うまく行った。驚くなかれ最後には、アトリエ中が浄化されたかのような雰囲気に包まれた・・・とでも言えるのかな?ものつくりなら誰でも知っている「おお、出来た!」という感覚ですが、この日、そのスゴイやつがあったのですよ。11/8■全く私は何かにつけて突拍子もない思い込みに陥りやすい所があります。自分でも良く分かっています。後に英文では“incarnation”と書きましたが、この時“龍神社の憑依”とでも呼ぶべき現象がこのグラッシの試し塗りに起こったと考えたのです。あの時辺り一面アトリエ中が、あの龍神社の霊気で充たされたと・・・。しかしこれはいずれ廃棄するつもりでいた失敗作に、グラッシの試し塗りをしただけのもので、作品でも何でもありませんでした。翌日には何もなかったかのように本制作に戻っています。11/20■さて、本制作の「龍神社」ですが、描いては潰し、潰してはまた描くの繰り返しで、毎度のことながらタフな取り組みになっていました。しかし私は何としてもあの龍神社を描きたかった。この神社には色々と思い入れがあるのです(後述)。今回発見したグラッシの効果はどこかで使えるなと思いました。そしてそのタイミングを見計らいながら“龍神社の制作バトル”は続いて行ったのでした。終盤の2週間に壮絶な格闘が繰り広げられたのですが、その最後の最後に「輝夜の奇跡」を引き起こすことになります。・・・ ではそろそろ日記に戻るとしましょう。日付けも記述もあるがままです。11/22■ 重厚感が出てきた。良かったのだが色がない。思い切って全面龍神社グラッシ、失敗!血の気が引いた。全面ふき取り復活。色が出てグラッシ完成作業。グラッシのおかげで色は出たが醜くなった部分がある。それよりいっぺん龍神社忘れろ!11/28■醜くなった部分が気になりながらも全体の重厚感が良いと思い制作続行、気に入ったところを汚さないように残しながら描く失敗パターン・・。書けば書くほど新鮮さが失われていく。11/29■なんということを!またもつぶした。呆れてものも胃炎。決して悪くはなかったのだ。二か月近くも描き進めて締め切り直前。すべては終わった。でも不思議と焦ってない。心臓ドキドキしとらんし。落ち着いている。気に入らなかったのだから仕方ない。あのまま出品してもいずれはつぶすことになっただろう。それより放置していた書きかけの緑の小品に目が留まった。これを書き進めてみたが悪くはない。これを替わりに出品する。タイトルはそのままでいける。サイズが小さいのは勘弁してもらおう。小さいので明日一日でまとめられる。もう寝る。11/30■9:10アトリエに入ったら昨日つぶした画面が目に留まった。残骸をいじっているうちに入り込み、場の気が渦巻きはじめ、語りかけてくるままに動いた。4:00頃鎮まり落ち着いた。あとはフィットネスとラジオいじり。12/01■午前中ずっと眺めていた。画面の一部として額のような枠棒を上下につけているが、額ではない。左右はそのまま。・・・変な絵。でもなんか悪くない。どこにでもありそうだけどそうでもない。2:00からはいつも通りRONIの英語クラス。週に一度,買い物とフィットネス以外で人に会うのはこの時だけ。家の外ではほとんど英語しかしゃべってないことになるな、週に一時間だけ・・・。その後、ゆったり構え時間をかけてぼんやり眺めて、ほんの少し手を入れて・・また戻したのかな・・・。いいのか悪いのかよくわからん。が、制作の閉じ方は理想的なパターンに入っている。このままゆっくり時間をかけて冷ましていく。12/02■朝起きて一番に見る。もうこれでいいと思った、というかもう締め切り過ぎとるやろ。乾燥確認後庭で撮影梱包発送完了。言われるままに動いては見たものの、しかしなんだあれは?タイトルは龍神社で残したが、誰知ろう龍神社とは無関係。雰囲気あるけどチェルニー入っとるし変な祠の絵。本当にあれでよかったのか?12/03■結局アトリエ掃除と道具整備以外一日中何もしなかった。ラジオいじってただけ。この二か月腰痛胃痛以外は休みなしに書き続けた。この息抜きのだらだらも仕事のうち。充実感のあるだらだら。12/04■東京に電話して閉め切りすぎてしまったが今日にはつくということで了解してもらった。特記すべきこと!!夜ジムに行く途中の暗がりで満月を背景に見た龍神社のシルエットがまさしくあの絵の中の祠。寸分違わぬ生き写し!すごい!!!!それに今日に限って龍神社怖くなかったな。むしろ褒められたような気がする。再び輝夜の奇跡。あれはやっぱり龍神社だったのか、そうだったのか!!これは秘すべし!外で語るな。トーク以外で語ってはならない!口にしてはならない・・・・・。
 
 

龍神社(副)4NOV2017 73×52×3cm
 
Actually, the incarnation of Ryu-jinjya had occurred with this work first.
 
I took up a failed piece from the corner and tried to see the effect of glazing. I did it for a change while I had been struggling with the main work of Ryu-jinjya. This trial of glazing itself went unexpectedly well. Very well, I thought. Then, I sensed something unusual occurred in my studio. It felt kind of sacred…. Well, I thought so, but I didn’t take it seriously at that time. The piece itself was nothing but only a glazing-practice with no meaning. And it was done on a failed one. So, I got back to the main work as soon as I came to my senses. However, once I knew that the main work had been incarnated with Ryu-jinjya on December 4th as my diary proves, I’ve come to be aware that the same miracle had occurred previously on this glazing-practice. Then I found the hidden meanings behind this practice-piece. It’s so serious and real to me. The leaf placed at the bottom was me myself. I wrote as follows….
 
There is a shrine called Ryu-jinjya in the middle of my walking course. Not far from the site where I heard “the voice calling me” (Talk-67). Small and shabby though, I often drop in there to breathe the calm air of its sacred grounds. But at night, I just hurry to my house without looking at it. There must be a bunch of evil spirits dwelling within, and they become active in the dark. Just scary at night. However, I am still attached to this shrine nonetheless for its evil. I speculate that the sacredness might have both good and evil. Doesn’t my work prove that? It is dark and bright, bright and dark at the same time. That is because of the effect of glazing. Remember, The glazing-trial “went unexpectedly well. Very well, I thought” Then, incarnated in my painting was Ryu-jinjya. It must have been the sacred atmosphere of the shrine, which I breathed in my studio at that time. And this was the event, I remember, which happened on November 4th, …on the first full moon night of a two-month long battle with Ryu-jinjya.

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